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槇原敬之



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槇原敬之

唱不出溫柔的歌(優しい歌が歌えない)

抱えた苦しみは誰のせいと
人をひどく責める的はずれを
何度も何度も繰りかえして
苦しみは前より増えるばかり

同じページを捲りすぎた
本のように日々はすり切れて
自分の中を見る以外に
もう術はなくなってしまってた

そこで僕は確かに見たんだ
総てを人のせいにして
だれでも平気で傷つけるような
もうひとり{! 98;自分が
こころの中で暴れながら
僕をぼろぼろにするのを

はじめてのぞいた心の中は
見たこともない暗闇で
僕はとても怖くなって
何度も足がすくんだ

夏に間に合うように木の葉は
日陰を作ろうと大きくなり
木の葉曇る小さな陰を
愚か者にも分けてくれる

責めるつもりなど無いというように
葉音の歌を歌ってくれる
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人に生まれたは! 僕は優しい
歌の一つも歌えない

たとえ何か出来なくたっていい
せめてこれから生きるときに
同じような事を繰り返して
誰かをまた傷つけぬよう
こころの中をどんなときも
見つめられる強い自分になりたい

はじめてのぞいた心の中が
あんな闇に包まれていたのは
自分をかばう僕の手が
光を遮っていたからだ

こ! 持さえ身勝手な
想いと今は解るけど
本当にすまないことをしたと
今すぐ謝りに行きたい

木の葉曇る背中を押すように
突然強い風が吹いて
立ち上がると僕の行く
5月の道が光っていた

優しい歌が僕にも
歌えそうだ