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槇原敬之



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槇原敬之

夏天它都記得(夏は憶えている)

夏の草をかき分けながら
川の石をどかしながら
何かを探す子供達に
夏は日を長くしてくれる
海も山もないこの街で
鞄と携帯で塞がった
両手じゃどんな季節にだって
手も振れないと思ってた

店先に出まわり始めた
スイカの赤い切り口が
笑っているように見えたのは
僕の中にいる
あの夏の子供の仕業だね

例えどんな場所にいても
自分で探! ければ
何も見つけられない
僕が忘れていただけで
どの年にいた子供の顔も
夏は憶えている

真っ赤に焼けた体を
夕立が急いでさます
刀鍛冶のように夏は
子供達を強くしてくれる
誰かが撒いた打ち水が
誰かに涼しい風を送る
次はどんな自分に
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なりたいのか解った気がした

蛍がたくさん集まる川や
アケビがなる場所を
見つけては胸! 高鳴らせ
走って帰った
瑠璃色の遅い夕暮れ

例えどんな場所にいても
あんなに楽しかったのは
喜ぶ顔を見てたから
僕が忘れていただけで
どの年にいた子供の顔も
夏は憶えている

虫かごを斜めにかけてた君を
タオルを首に巻いてコーラを飲む君を
勉強帰りホームに立っていた君を
夏は忘れはしない

例えどんな場所にいて|!
自分で探さなければ
何も見つけられない
僕が忘れていただけで
どの年にいた子供の顔も
夏は憶えている