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長澤知之



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長澤知之

はぐれ雲けもの道ひとり旅

少しその街を離れて ケータイの電源を切って
しばらく友達も忘れて 鈍行に揺られるだけでいい
君にとってその生活が時折負担になったなら
恋しくなるまで旅をして
恋しくなったら戻ればいい

人生は駆け抜けるものものではない
人生は振り返るものではない
・・・いいや 人生はあの日の月が照らした
はぐれ雲のようにたゆたうだけ

こないだ君が彼女と観た映画のストーリーみたいな
展開の透けた将来に僕らの求めるものなどない
顔を赤らめることばかり もう口にしたくない名前
顔を青ざめることばかり もう思い出したくない場所

人生の死は終末なんかじゃない
生涯の完成であり無ではない
・・・いいや 人生のことなど僕は分からない
けもの道のように続くだけ

なおも美化しようのないヘマやドジを踏んで
なおも美観を損ねる過ちを犯して
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なおも無邪気に希望を抱いて笑う
小鳩を追う子どもの手みたいに
ただ真っ直ぐなだけ

日帰りでも何泊でもいい 幼い日の腕白ぶりに
敵うような美しさの思い出探しに出るといい

人生に悲哀は気取りでしかない
人生に素直は演技でしかない
・・・いいや 人生は方位磁石も星もない
ひとり旅のように風任せ

そして誰かを失い 誰かと巡り会い
そして何かが過ぎ去り 何かを思い出し
そして転がり続ける自分を歌い
何にも見えない夜空を笑い
絶え間なく回るだけ


少しその街を離れて ケータイの電源を切って
しばらく友達も忘れて 鈍行に揺られるだけでいい