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鏡五郎



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鏡五郎

春という名の女

作詞:もず唱平
作曲:遠藤実

春よ来い 春よ来い 春よ早く来い‥

物ごころつかない ガキの頃に
嫁いだ母の 俤しのべば
こらえきれない この涙
風の便りに 苦労を重ねて
齢よりふけていたという
母は宿命に不似合いな
春という名の 女だった

「おまえに惚れたのは確かだ。
お前を倖せにしてやりてェ、
そうも 心底思っているんだ。
けどよう‥‥‥
このオレの心の奥底に、
もっと恋しい人がいるんだ。
ごめんよ、勘弁しておくれ‥‥‥
オレのお袋さんだよ。
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“春よ来い 春よ来い来い 早く来い”
オレの手を引きながら歌っていた、
あの時の俤と手の温み‥‥‥。
三つ四つで訣れた親をと、
お前は笑うかも知れねェが、
お袋を不倖せのままにして、
オレが倖せになるわけには
いかねェんだよ。」

いつまでも 若くはないとすがる
お前の言葉 忘れちゃいないが
待っておくれよ もう少し
白髪まじりの 賄い女が
こんなに寒い冬の夜
枕ぬらしちゃいないかと
薄い縁でも 気にかかる

春よ来い 春よ来い 春よ早く来い
春よ早く来い‥‥‥