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感傷ベクトル



歌詞
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感傷ベクトル

夏の幽霊

田口囁一

作詞:田口囁一
作曲:bermei.inazawa

太陽に炙られて
這い回る蜥蜴のようだ
忙しい足並みで
闇雲に年を重ねた

いつの間に磨り減って
鈍くなるこの胸さえも
蒸しかえす郷愁が薫っては
少し騒いだ

結末忘れた映画みたい
この青さはあの日の続き?
わからない
少年期特有の熱の
その痕跡を辛うじて辿ろう

あの夏の幽霊は
声もなく僕の記憶を揺らして
今もまだこの道に
冷ややかな影を落としている

さりげない焦燥が風に解け
薄れゆくのを感じては
手繰り寄せるようにまた
思い出と伴に
痛みを確かめる

浮かんでは消えていく
雨雲のような俤(おもかげ)を
微睡みの嗅覚で追いかけて
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その手触れた

蘇るものは蝉(せみ)の音(ね)と
光を纏って笑った、
君は誰?
少年期特有の熱が
鮮やかな夢みたいに囁く

あの夏の幽霊は
声もなく僕の記憶を揺らして
今もまだこの胸に
ささやかな刺を残している

密やかな感傷が
止めどなく膨らんで僕を満たす
君の手を取り歩く憧憬(あこがれ)を
僕は忘れていたのに

大切だったこと やがて霞んで
少しずつ違う自分になっていった
夕立に洗われて 雲が過ぎたら
あの日と同じ青を待つ
帰ろう

あの夏が続くなら
もう一度欠けた想い抱き寄せて
ありふれた痛みでも
年を取る僕の栞に変えてゆく

あの夏の幽霊は
声もなく僕の記憶を揺らして
今もまだこの胸に
ささやかな刺を残している