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森進一



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森進一

うさぎ

作詞:保富康午
作曲:猪俣公章

あの日はほんとに暑かった
村へと続く白い道
かげろうだけが揺れていた
夢中でぼくは 走ってた
母さん 待っててすぐ帰る
大事な仕事忘れてた

女手ひとつで ぼくたちを
育ててくれた母さんは
落した肩で うなずいて
遠くの村をみつめてた
貧しくひなびたあの村は
悲しく捨てた ふるさとさ

親子で荷物を持ちあって
真夏の道を港まで
おさない末の弟は
疲れて泣いて しゃがみこむ
おぶってやろうと思っても
許しておくれ 無理だった

「ようやく港に着いた時
突然ぼくは 思いだす
小学校の夏休みに
うさぎの係をしてたこと
このまま出かけてしまったら
うさぎは餓えて死ぬだろう」

あわてて駆け出すぼくだった
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今来た道を学校へ
おなかを空かす つらさなら
誰よりぼくが知っている
待ちかねていた うさぎたち
さし出すエサに飛んでくる

埃(ほこり)にまみれてたどり着く
港に船はもういない
今度の船が出るまでに
どれだけ長く待つことか
それでも母さん ひとことも
叱らずぼくに ほほえんだ

母さんなにより嬉しいよ
こんなにつらい時でさえ
やさしい心忘れない
おまえは強い男の子
めったに泣かない母さんの
まぶたが濡れて光ってた

あれから何年たったかな
苦しい時が来るたびに
白いうさぎを思い出す
母さんの目を思い出す
いっしょうけんめい生きてます
母さんほめてくれますか
いっしょうけんめい生きてます
母さん泣いてくれますか
母さん… 母さん…
母さん… 母さん…